

東京大学工学部、化学システム工学科(化シス)では、3年生の秋冬が「研究室選び」のシーズン。今回は、実際に化シスで研究室選びを経験した学生にインタビューし、そのプロセスや見落としてはいけない点、そして裏側のリアルな情報戦までを聞きました。

3年の夏休み中に一度、仮の志望調査が行われたりしますが、この段階ではまだ多くの学生が十分に情報収集を終えていないため、あまり参考になりません。
研究室選びの本格的なスタートは、3Aの10月から12月にかけて行われる研究室見学です。学生の学科長などが中心となって、学科LINEグループで日程調整を行ってくれるので、授業終わりなどを利用して、それぞれの研究室を訪問します。
見学会では、担当教員がスライドを用いて研究内容を説明したり、所属する先輩たちが直接、学生からの質問に答えたりする時間が設けられます。多くの学生は、自分の興味関心に基づき、3つ程度の研究室に足を運びますが、ほとんどすべての研究室を訪問し、幅広く情報を集める人もいます。

研究室見学では、どの研究室も良い面をアピールしがちで、いわば「猫をかぶっている」状態のことがあります。研究の魅力だけでなく、研究室が抱える課題や厳しい側面についても正直に話してくれる場所の方が、後々のミスマッチを防ぐ上で信頼できるかもしれません。
実際に化シスには、研究室見学の際に言っていた良いイメージとは実態が全然違う研究室もありました。
こういうのを見分けるのに、このクチコミアプリ『ラボログ』はとても良いと思います。

研究室の配属方法は、基本的には成績順で決まります。進振りと同じアルゴリズムなので、第1希望から最後まで書いて提出するスタイル。しかし、化シスのユニークな点は、成績下位の学生にも人気研究室に入るチャンスが残されている「じゃんけん枠」の存在です。
この「じゃんけん枠」というのは、成績ではなく、そこを希望する学生間の話し合いで決めるもので、結局は「くじ」で決めることが多い枠です。
配属の具体的なルールは、学生の自治に委ねられています。毎年、学生の中から選ばれた学科長が中心となり、3年の時にその学年のルールを決定します。このため、配属の力学は年によって変動します。
「成績優秀者が報われるべき」という思想が強い学年:じゃんけん枠が廃止、あるいは縮小され、成績のみで決まる傾向が強まります。
「成績だけでなく、その研究をしたいというのも重要」という思想が強い学年:すべての研究室に一定数のじゃんけん枠が設けられ、多くの学生にチャンスが与えられます。

ちなみに、ある年には最初の説明会で教員から「研究室配属のじゃんけん枠は半分程度」との説明があったが、実際には4分の1程度だったという話もあります。これは、学生の自治によって学年ごとに決定方法が変わるためで、なので成績は絶対取っておいた方が良いです。
最終的な配属先の決定は、期末試験が終わる頃までには確定します。
ちなみに配属決定が近づくにつれて、一種の「情報戦」の様相を呈することもあります。例えば、人気な研究室に行きたい学生が、自分が行きたい研究室の競争率を下げるために、意図的にその研究室の悪い噂を流すといった駆け引きが行われることもあります。

実際に研究室を選んだ先輩は、どのような点を重視したのでしょうか?
そして、今振り返って「もっと見ておけばよかった」と感じる点は何だったのでしょうか?
重視した点
研究テーマ:研究内容に自分が興味を持てるかで、まずある程度絞り込みました。
研究室の雰囲気:研究室ごとに雰囲気は大きく異なります。自分に合った環境かどうかは、研究生活の質を大きく左右します。
英語の使用頻度:自分は英語苦手だったので、ゼミや発表が英語で行われるか、教員やスタッフに日本語が通じない方がいるかなど、英語をどれだけ使う環境かも見ていました。
就職先を気にする学生も多いですが、自分はあまり気にしませんでした。
「もっと見ておけばよかった」と後悔した点
労働時間(コアタイムの罠):
研究室によっては「コアタイム」が設定されていますが、それは最低限だったりして、実際には大幅に超過して研究しているケースも少なくありません。研究室のリアルな稼働状況を知るには、先ほどの「ラボログ」でクチコミを確認するのが最も確実な方法だと思います。
就活のしやすさ:
自分は修士で就活しましたが、インターンへの参加などで先生からあまり就活への理解が得られず、困りました。
博士への進学者が少ない研究室の方が、学部卒や修士卒での就職活動はしやすい傾向にあるのではと思います。研究室全体の雰囲気やスケジュールが就活生にも配慮してくれやすいためです。
私も入る前は、アカハラなんてそんなないだろうと思っていましたが、ハラスメントが存在する研究室も実際にあります。。
あと余談ですが、最近では化学メーカーなどの従来からの専門職だけでなく、コンサルティングファームなどに就職する学生が増えていることが、教員の間で問題視されているようです。

化学システム工学科では、大学院進学時に研究室が変わる学生はほとんどいません。
しかし、もし外部から大学院入試を受験する学生や、学部から研究室を変えたい学生が優秀な成績を収めたら、その学生が希望の研究室に配属されることがあります。
その結果、元々その研究室にいた学生が「押し出される」形で、他の研究室へ移動せざるを得なくなるケースも存在します。なので院試も頑張ってある程度良い点数を取っとくと良いです。
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